農機具の盗難が関東エリアを中心に発生しており、非常に深刻な問題となっています。
全国のトラクターなど農業用車両の盗難件数は年間130〜200件超で推移していますが、そのうちの約4割〜5割が北関東3県(茨城・栃木・群馬)に集中しています。
茨城県
全国ワースト1位・2位を毎年争う最頻発地域。
栃木県・群馬県
茨城に隣接する地域や、幹線道路沿いの農地・倉庫が執拗に狙われている。
被害のピーク
北関東エリアだけで4ヶ月間に65件(前年同期の約2倍)のペースで急増した時期もあり、現在も組織的な犯行が続いている。
| 年(西暦) | 全国認知件数(概数) | 傾向と背景 |
| 2019年 | 約350〜400件 | 【過去最悪レベル】 外国人窃盗団の暗躍が本格化し急増。 |
| 2020年 | 約200件超 | コロナ禍による国際物流(コンテナ船)の混乱で、密輸出ルートが一時停滞し減少。 |
| 2021年 | 215件(8月時点) | 物流の回復とともに再び増加へ転じる。 |
| 2022年 | 約150件 | 各県警やJA、自治体による一斉防犯パトロールや啓発が本格化。 |
| 2023年〜現在 | 約135件前後 | 全体数は減少傾向を維持しているが、被害総額(1件あたりの損失額 )は高止まり。 |
被害件数の推移を見ると、警察の対策強化により全体数は減少傾向にあるものの、高額車両を狙った犯行が継続しており、依然として警戒が解けない状況と言えます。
農機具の盗難は1台あたり数百万円もの大損失になるだけでなく、農作業そのものがストップしてしまうため、事前の強固な対策が欠かせません。
農機具の盗難防止にはしっかりとしたセキュリティーシステムが必要不可欠です。
農機具盗難の背景には様々な要因があります
① そもそも古い農機具なので、盗まれる事はないという認識不足。
② 農機具の保管は母屋から離れた車庫や軒下に置いている。
③ 古い農機具は同じ機種ならカギが共通で使える。
④ 翌日も作業で使うので自宅に持ち帰らず現場に放置。
⑤ 中古農機具が高値で売買されるようになった。
①そもそも古い農機具なので盗まれる事はないという認識不足
農機具が高値で売れると思っている農家さんはいません。実際に査定に出して高値が付くと非常に驚かれます。
古い機械だから売り物にならない、値打ちが無い為、盗まれる心配は全くないと思っているのです。
こういった認識不足からセキュリティ対策も皆無で、窃盗が始まった初期の頃は非常に簡単に盗み出す事が出来たそうです。
自動車同様に農機具にもしっかりとした防犯対策が必要です。
②農機具の保管は母屋から離れた車庫や軒下に置いている
農機具の窃盗は当然ですが深夜に行われます。しかも農機具は母屋から離れた倉庫や納屋に保管しているケ-スが非常に多く
防犯システムも無い為、簡単に引っ張り出せるという訳です。母屋から離れていれば少々の物音がしても見つかりにくいのです。
③古い農機具は同じ機種ならカギが共通で使える
驚愕の事実ですが、古い農機具は機種が同じならカギが共通で使えます。メ-カ-で製造された段階でこの様な仕様になっているのです。
信じられない事ですが、同じカギを入手出来れば簡単に動かす事が出来るのです。
泥棒が合いカギを持っているのと同じなので、古い農機具をお持ちの方は十分注意しましょう。
もちろん最近の農機具はそれぞれに異なったカギが使われていますので多少は安心できます。
④翌日も作業で使うので自宅に持ち帰らず現場に放置
トラクターを翌日も使うので畑に放置していて盗まれる事例も報告されています。
自宅でも盗まれる事もあるので畑に放置してある状況というのは完全に無防備な状態になります。これは絶対に止めましょう。
⑤中古農機具が高値で売買されるようになった
近年は古い農機具でも買い取ってくれる業者が増えました。程度の良い農機具であれば意外な高値がつきます。
海外での需要が高まっているからです。盗難品でも海外の発展途上国や管理が緩い国では簡単に売りさばくことが出来ます。
外国で販売するために盗難が多発していると言っても過言ではありません。
農機具の盗難防止対策
農機具の盗難防止には様々なアイテムが販売されています。強力なチェーンロックや防犯カメラ、GPS式の追跡装置などですが、効果が期待できるかと言うと疑問です。
過去の事例ではチェーンロックなど簡単に切断していますし、防犯カメラにしても犯人が写ってはいても目だし帽を被っていては顔も分からず、探し出して特定するのは不可能です。
それに国外に逃亡されたらそれまでです。犯人の手際の良さを歯噛みしながら映像を見るだけとなります。
犯人は農機具を夜間に盗み出した後は、ヤードと呼ばれる場所に持ち込み解体してバラバラにします。
エンジン等の製造番号は削られ、出処が判別出来ないようにします。その際にGPSなども見つかり壊されるので役に立ちません。
防犯アイテム単品では効果が期待できないので複数用意すると良いでしょう。窃盗犯は万国共通で音と光を最も嫌います。
センサー付ライト、ブザーを先ず設置し、その上で出入り口をトラックなどで塞いで、最後にチェーンロックをしておきます。
センサーライトやブザーが鳴っている状況の中でチェーンロック切断し、トラックを動かし農機具を盗もうとする強盗はいないでしょう。大抵はセンサーライトが反応した時点で退散する筈です。
農業機械盗難被害情報共有システム

万が一農機具が盗難にあったら、速やかに最寄りの警察署、交番に届け出るほか購入先の農機具販売店、JAにも連絡を入れましょう。
現在は農機具の盗難に対して、農業機械盗難被害情報共有システムが機能しており、関係団体(警察・行政・税関等)と情報(型式・機体番号など)を共有する事で盗難農機具が容易に売買出来ない様になっています。
もし仮に盗難された農機具が販売店に売却目的で持ち込まれても、情報を確認して直ぐに警察に通報できるので窃盗の抑止となります。
更に、税関との連携は効果絶大で輸出時に通関書類と照合する事で不正な輸出を阻止出来るようになっています。
(とは言え部品にされたら特定するのは困難を極めるとは思いますが・・・)
最後に・・・
農機具が盗難にあえば、農作業が進まず大きな影響が出ます。また再度購入するにしても金銭的にかなりの負担となります。
非常に深刻な状態に陥ってしまいます。農機具の盗難は他人事と思わず、しっかりとしたセキュリティ対策を複数行い、万が一に備えて農業機械の盗難保険(農業共済の農機具共済等)にも加入しておきましょう。
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